今日定時を過ぎてから生徒が塾を辞めたいって電話が来た。
しばらく無断で授業を休んでいて、たぶん鬱病が悪化してたんだと思う。
何が原因かわからないが、不安でたまらないそうだ。
なんとかそれを止めないと上司が黙ってないから、私は引き留めるための薄っぺらい単語をあれこれと並べていた。
しかし、どれも響かないようで、私は辞めたほうがいいと思った。
なんか辛くなった。
誰に当ればいいかわからないから、隣で傍観してる上司に腹が立った。
その上司に気に入られてる同期が嫌いになった。
じゃあどうして欲しかったんだろうと自分に問うてみた。
でも、答えは出なかった。
ただ、生徒の震える声だけが自分の鼓膜にこびりついて離れない。
上司たちに対する憎悪はただの幻想にすぎず、
その電話越しの声が確かに残っていた。