他人の顔がウイルスに見えてくる。
なるべく見ないようにする。
1人の時間。
「人の温もりが感じられなくなった一年でした」
「こんな時期ですが頑張りましょうね」
「落ち着いたらご飯行こうね」
少しばかりも共感できないフレーズが私の生活を覆い尽くす。
孤独は1人で味わうものなのに、他人と共有しようとするのが気味悪いのだ。
そのせいで、自己と他者の境界が曖昧になってきていて、休日の1人の時間も、背中に必ず誰かがいる。
湯船に浸かるときも、入眠するときも、私の背後に私以外が存在する。
この病を何と呼ぶのだろう。
「これ美味しいから絶対食べて」
「結婚しないの?良い人紹介しよっか」
「喋りたい、電話していい?」
「不安なの、どうしたらいい?」
「助けて」
「ありがとうありがとうありがとう」
その存在たちは、象徴となり夢にまで出てきて、私を早朝に目覚めさせる。
時計を見ると5:25。
アラームまであと1時間。
起き上がるとその存在がはっきりとこう言った。
「病気なんかじゃないよ」