少女は孤独だった。
クラスで孤立しているのではなく、
心がいつも独りだった。
話しかけてくれる友達もいるし、昼の弁当を食べるグループもある。教室移動の時はいつも隣に友達がいる。
皆、少女を好いてくれている。
ただ、少女自身は誰一人として好いていなかった。
自ら話したいと思う友達は一人もいなかった。
「みんなほんとうの自分を見てくれていない」
少女は悲しげにつぶやいた。
泣いているようにも思えたが、
誰一人として少女の目を見ることは不可能だった。
少女がそうさせてくれなかった。
少女が他人の目を見ることがなかったからだ。