眠れない夜は永い

もうこれで最後だと思った瞬間を綴っていきます

すずめの戸締まり

この3ヶ月何をしていたかというと、引っ越しをしていた。

3年半の一人暮らしに蹴りをつけ、実家に戻ることになった。

新しく家を借りようと試みたのだが、いざ家が決まり、契約書に判を押すとなると、躊躇してしまった。無収入で病気持ちの自分に未来などない。それなのに、2年間、家賃の支払い義務を突きつけられる事実に恐れ慄き、賃貸を断念した。

それで今は実家で暮らしているが、恐れは消えたわけではない。この病んだ自分に家族がいつ愛想を尽かすか、愛想を尽かさなくとも、いついなくなるか、そんな不安に怯えた毎日を送っている。

いや、不安に怯えているのではない。むしろ不安があった方が心の所在を確認できて有難いのかもしれない。不安を、不安の原因をこれと仮にでも決めることでこころの平穏が訪れるのだ。

今日、ベランダに出ると、隣人が怒鳴り合っていた。ただの親子喧嘩だ。私は動悸がして吐き気を催した。しかし、私はそれを聞くことをやめなかった。その場を立ち去ることができなかった。

不安、脳のもや、手の震え、息苦しさ、動悸。

不安が具現化し、私の心臓を鳴らしている。

自分は生きている!

不安を最高潮に感じることで、感じている時だけ、生きていることを噛み締めることができたのだった。