2、3年前から不眠に悩まされていた。
今の塾の仕事に転職したと同時に一人暮らしを始めた。
そのタイミングから、悪夢を見るようになった。
夜中に飛び起きた時、スマホから放たれる無機質な数字は2時や3時を示していた。
やがて3ヶ月ほどすると、悪夢を見ることは少なくなった。
しかし今度は、睡眠中に脳がぐるぐると動き出し、ひとりでに仕事をするようになった。
身体は眠っているのに、脳だけが狂ったように回転し出すのであった。
実際わたしはバイトのシフトを組む仕事をしていた。
それが睡眠時にも脳裏で再現されたのである。
それ以外にも、仕事であった嫌なこと、上司に言われた嫌味や、先輩からのミスのなすりつけなど、日中はそれほど気にせずやり過ごせていたことが、就寝中ものの見事にフラッシュバックされた。
寝起きの朝は言わずもがな最悪の気分で、最悪な気分のまま、飯を食べ、最悪な気分のまま、電車に乗り、最悪な気分のまま、出勤した。
休日は会社から法定通りに与えられていたものの、そんな最悪な気分を解消するには、あまりにも短かかった。
ため息が絶望というガラス管に充満し、割れてしまうのも時間の問題だった。